横浜で世界軍人クリスチャンの会東アジア大会開催 自衛官キリスト者へ祝福の祈り


「キリスト・イエスにあって一つ」(ガラテヤ3・28)をモットーに、あらゆるキリスト教の伝統と宗派のクリスチャン軍人が交流する「世界軍人クリスチャンの会(AMCF)」。その東アジア大会が8月29日から31日まで、神奈川県横浜市中区の横浜指路教会と横浜オンヌリ・キリスト教会を会場に開催された。主催はJMCFコルネリオ会(防衛関係キリスト者の会)と日本自衛隊宣教会で、日本での開催は今回で5回目。日韓関係悪化の中にも関わらず、韓国から軍人クリスチャン32人が参加したのをはじめ、台湾(11人)、モンゴル(10人)、キルギスタン(2人)、カザフスタン(2人)、タジギスタン(1人)、アメリカ(5人)、スリランカ(2人、世界会長夫妻)から参加。日本も入れ約100人が共に主を礼拝し、交流し、励まし合い、アジアの平和を祈る時を持った。【中田 朗】

初日の宣教大会では、元自衛官の藤井秀一氏(バプ連盟・花小金井キリスト教会牧師)が証しをした。藤井氏は18歳の時に陸上自衛隊音楽隊に入隊、トロンボーン奏者として働いた。26歳の時、三浦綾子さんの本と出会い、「綾子・光世夫妻が互いに愛し、支え合っている」姿にひかれ、クリスチャンに。31歳の時に自衛隊を退職、その後牧師になった。「日本の教会の中には、自衛隊に対して否定的な人々がいる。全く武力を放棄することで『平和』を実現しようと主張する人々、悪に対する武力を持つことで平和を維持できると主張する人々など、違った政治的立場、思想があっていいと思う。しかし、私は牧師として、違った立場の人々を一つにしてくれるイエス・キリストの福音をまっすぐ語っていきたい」と証しした。
説教は山北宣久氏(日本基督教団元総会議長)。「先ほど韓国チームの賛美を聞きながら、今の日韓情勢を思わずにいられなかった。日本が今なお韓国の皆様に重荷を負わせ続けていることを申し訳なく思い、赦しを求める」と述べ、「韓国教会の証しに日本の教会は大いに励まされている。主にあって韓国の皆様を愛し、大切に思っている日本人がいることをどうか忘れないでほしい。こういう時にこそクリスチャンたちが祈り祈られながら、世界に向けて平和を作り出す使命を果たしていきたいと願っている」と語った。説教後、参加者は共に祈りの時を持った。司会者の金学根(キム・ハッグン)牧師(日本自衛隊宣教会代表)はコルネリオ会の日本人メンバーを講壇の前に招き、その周りを各国の牧師たちが手をかざして、「この方々が証し人として用いられ、この方々を通して自衛隊の皆様に福音が届きますように」と祝福の祈りをささげた。
二日目は、元自衛官の尾崎伸作氏(ベテル・バプテスト教会員)が証しをした。尾崎氏は防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊したが1年後に退職。アメリカ留学し、その後アメリカの企業で働いた。また敬虔なクリスチャン夫婦との出会いをきっかけに信仰に導かれた。「今思うと、自衛隊を退職していなければイエス様を知ることはなかった。しかし、私がコルネリオ会に導かれたように、神様は自衛隊を辞めてイエスに出会った人を、自衛隊宣教へと導かれるだろう」と語った。
説教は会場となった日基教団・横浜指路教会の藤掛順一牧師。藤掛氏はヘブル人への手紙11章1〜3節から「すでにといまだの間で」の題で説教。「私たち信仰者は、主イエス・キリストによって救いの約束を『すでに』与えられているが、その救いは『いまだ』完成していない。人間の罪や、それによって生じる対立、争いは世の終わりまでなくなることはない。戦争という悲しい出来事も起こり続けるだろう。軍隊の存在はまさにこの『すでに』と『いまだ』の間の時代に、現実的な必要性を持ち続けるのだと思う。『すでに』与えられている救いの恵みに支えられ、『いまだ』完成していない『望んでいる事柄』を希望をもって望み見つつ、その信仰にしっかり立ち、それぞれが与えられている立場で力を尽くしていこう」と励ました。
そのほか、開会礼拝では徳梅陽介(同盟基督・馬堀聖書教会牧師)、聖書講演では西岡力(麗澤大学客員教授)、派遣礼拝では朝岡勝(同盟基督・徳丸町キリスト教会牧師)の各氏がメッセージ。元モンゴル宣教師の木島正敏氏(防衛大卒)の証しでは、当時のモンゴル士官候補生の教え子3人(現在400人に成長)のうちの1人が今大会に来日、20年ぶりに再会したことを話した。また長男を陸上自衛官にもつ井草晋一氏(MB・武庫川キリスト教会協力牧師)は、長男が8年前PKOメンバーの一人としてハイチの震災復興に従事したことを証しした。韓国・台湾・モンゴル・中央アジアの軍人クリスチャンの各国報告もあり、宣教大会では韓国・台湾チームが、各国報告ではモンゴル・中央アジアチームが特別賛美をささげた。 
コルネリオ会会長の石川信隆氏は大会が守られたことを感謝しつつ、「有力なクリスチャン自衛官が九州におり、開会礼拝の司会を務める予定だったが、九州北部豪雨に伴う災害派遣対応のため、来られなくなった」ことも明かしてくれた。